【徳島移住物語4】自主学校遊の説明会に参加して

小学校パンフレット 徳島移住物語

Moi!めぐむです。
東京の国立市にある『自主学校 遊』は小学校から高校生までがともに学ぶフリースクール。シュタイナーを取り入れた独自の教育で1995年から続く全日制の学校なんだ。説明会に参加して感じたこと、選択しなかったワケをまとめるね。

自主学校 遊?

「うちの学校においでよ!」

屈託のない笑顔で少女が言った。

笑う女の子

「学校って!?そこ(公立小学校)だよね?」

「転校したの。『遊(ゆう)』っていう学校だよ。」

いつも明るく元気な少女が転校した理由、それはいじめだった。

笑いながら教えてくれたけれど、彼女が笑えなくなるくらい辛かったんだと思う。

誰にでも優しくて誰とでも仲が良くてかわいらしい少女がなぜいじめられるのか?想像することすらできないくらい理解に苦しむ話だけれど、『それ』は実際に起こったことなんだ。

ここいらではいちばん緩やかだと聞いていた小学校でのできごとにさらにショックを覚えためぐむ。

「楽しいよ。とってもいい学校なんだよ。」

遊なんて小学校、今まで聞いたこともなかった。

彼女は学校でどんな風に学んでいるかとか、お友達となにをしているかとか教えてくれた。

「これがノート。」

ひとりひとり違うという手作りのノートも取り出して見せてくれた。

手作りノート

パステルカラーが色鮮やかで美しいノートには、彼女の心が文字になって飛び跳ねているようだった。

息子くんと国立へ 遊を探して走る自転車

息子くんの幼稚園のお母さんたち何人かで説明会を開催してもらうことになった。

公立の小学校への疑問が拭えないお母さんを主に『遊』へ関心があるお母さんたちが5人。学校説明会についての問い合わせから開催してくださった少人数での説明会だった。

最初は電車で行こうと思っためぐむ。

地図をみて、駅からもちょっぴり距離があるように感じたから自転車で行くことにした。国立市には行ったことがないけれど、自転車でも通えそうな距離に少し嬉しくなる。

めぐむの家から『自主学校 遊』へのルートはかなり入り組んでいた。

ほんとうは自転車で30分程度で到着予定だった。が、道に迷い小学校への道を通り過ぎて国立駅周辺まで走っためぐむ。小一時間程度かかってしまった。

国立駅

なんとか到着?!

学校らしい建物は見当たらず、そこには古ぼけたアパートが1棟ひっそりと佇んでいた。

不安を覚えためぐむの前に同じ幼稚園のお母さんの姿が見えた。

「めぐむちゃん、おはよう!」

「おはよう!学校が見あたらないけど・・・。」

不思議な気持ちで聞いた。

「ここ(アパート)だって 笑。」

(ここっ!?)

古いアパート

びっくりしてアパートを凝視しためぐむ。

(ここが学校!?)

想像を超えたロケーションが目の前に広がっていた。

手作りで温かい説明会

古い外階段を登り扉を開けて靴を脱いだ。

3部屋ほどを1部屋に改築させたであろう部屋の奥に、代表の和知誠一郎さんが笑顔で座っていた。

和知さんからサイドに並ぶようにめぐむたち、和知さんの向かい側に在校生のお母さんたちが座っていた。

「ようこそ。」

和知さんのご挨拶につづきめぐむたちの自己紹介が行われたあと、いよいよ説明会がはじまった。

説明会には子どもの参加はNG!今回は息子くんのお友達のお父さんが外で遊ぶのを見守ってくれていたよ。

自主学校遊とは!? 始まった説明会

1995年、最初はたったの2人の生徒のために生まれた『自主学校 遊』。塾講師だった和知さんは講師を辞めてふらふらしていたところを知人にスカウトされたらしい。

塾講師

ある日のこと、学校を作られた知人が学校をやめてしまった。

やむなく和知さんが代表をすることになった。いらい、和知さんは遊の代表をしている。

シュタイナーの考えを素晴らしいと思う反面、シュタイナー教育すべてが正解だとは考えていなかった和知さんは、シュタイナー教育の良いところだけを取り入れたオリジナルの学校をメンバーと一緒に模索されてきた。

学校の特徴は3つ。

1.教科書がない
2.テストがない
3.通知表がない

1.教科書がない

遊には教科書と呼ばれる教材はない。親子で作った個性的なノートに、授業の内容を言葉や絵にしてひとりひとりが書いていく。授業が終わったときには世界でたった1つの『教科書』が誕生するんだ。

2学年が1クラスという遊は1クラスが2〜8人ほど。子どもたちひとりひとりの進み具合がわかるから子どもたちのペースに合わせて授業が展開されるんだ。

たとえばね、絵を描く授業があったとする。普通の学校だったら、時間内に描きあがらなかったらそれで終了してしまう。(あるいは家で自分で描きあげる。)

これが普通であり、これで『自分はなんて出来ないん人間なんだろう。。。』という自己肯定感が生まれてしまうのであるが、遊では子ども達が1つのものを完成するまでじっくりと取り組むことができるんだ。

2.テストがない

1クラスの人数が少ない遊。子どもたちの進行具合が良くわかるからテストをする必要はないという。

見えないけれど、教わったことはすべて子どもたちのなかに貯まっていると信じている和知さん。

「遊では国語なら国語だけの授業が1週間とか2週間とかずっとやるんです。それでテストをしないで今度は算数をずっとというふうに。テストをやっていないのにふとしたときに昔覚えたことが現れることがある。

あぁ、しっかりとなかに入っていたんだなと。忘れているように思われるけれど、しっかりと貯まっているんです。それが外に現れるのは1年後かもしれないし、6年後かもしれない。けれど、しっかりとひとりひとりの中で根づいているんですよ。」

情熱的に語る和知さん。

子どもは天才だってことを知っているんだろうね。

3.通知表がない

遊には通知表がない。

そもそも評価をする必要がないから通知表はいらないとめぐむも思う。

子どもたちにはそれぞれの才能があり、みんなそれぞれに素晴らしい。だから、遊ではひとりひとりに各教科の先生からの言葉が書かれたものがまとめられて渡されるそうだ。

子どもたちにとって1年間の集大成に貰う『各教科の先生の言葉のまとめられたもの』は宝物になるらしい。

通知表の代わりに宝物を貰う12年。

素敵だよね。

子どもたちの個性を大事にする教育

人はみな4つのエレメントで特徴があるそうだ。

『火』、『水』、『風』、『土』

たとえば、火の人間は躍動的で、水の人間は流れるよう、風の人間はふくように流れ、土の人間はじっくりしている。

最初から良い人や悪い人がいるわけではなく、たんにエネルギーがプラスに向かうかマイナスに向かうかの違いでしかないという和知さん。

プラスに向かえばいいけれど、マイナスに向かってしまったとき人との間に不協和音が発生するんだそうだ。

「子どものエネルギーがマイナスに向かったとき、プラスに誘導するのが僕らの仕事なんです。」

和知さんは優しく応えた。

『善』か『悪』か?

ひとはどちらかに判定されてしまう世の中。
『遊』ではたとえどんなに悪いことをしたとしてもそのひと自身が『悪』だとは捉えることはしない。エネルギーの向かう方向性が間違っていただけだと判断して、良い状態に導くように働きかけてれるんだ。

たとえば『火』の特性の子どもは、エネルギーがプラスに向かうときはリーダーとして仲間をひっぱってくれるけど、エネルギーがマイナスに向かうと、暴力でひとを制してしまおうとするんだって。

まさにドラえもんに出てくるジャイアンだって言っていたよ。

著名人ではステーブ・ジョブズもまさに『火』の特性のひとだよね。

テレビは禁止!心のジャンクフードを与えない

アニメーション

遊ではテレビやゲームを禁止している。

アニメや特撮シリーズの暴力的な映像は『食』に例えるとポテトチップスのようなジャンクフード。刺激が強すぎて、本当に良い物語の繊細な良さが分からなくなってしまうって考えているんだ。

いままでテレビをみて育ってきた子どもの家庭ではテレビを見せないようにすることが大変だったりもするようだ。

在校生の親御さんのなかに、遊に転入するために長野県から引っ越してきたお母さんがいらっしゃた。

彼女がご自身の体験を話してくれた。

「長野ではテレビを見せない生活は特に問題がなかったけれど、国立市(東京)では、近所の子どもたちが見ていたりするので、うちの子だけ見せないというのが結構大変だ。」

息子くんが幼稚園に通うようになって、やっぱり、お友達から聞く特撮番組の話や遊びの中でのヒーローごっこにテレビを見たい衝動が沸いていたのを感じてきた3年間。

お友達のうちで当たり前に見せてもらって帰った時のショック。

めぐむもテレビ番組の悪影響を早期教育で学んでいたから、息子くんが生まれてからテレビを見ない生活に切り替えた。それが大きくなるにつれて我が家だけでは難しいと痛感していたから、お母さんたちの大変さがリアルに感じられた。

日本アニメ

テレビによって日本人が『一億総白痴化』すると警笛を鳴らした方もいたが、テレビを見る時間に比例して脳の発達が遅れているという調査結果が報告されている。
※東北大学川島教授(脳科学)による調査

テレビやゲームなどの一方通行の情報は脳が停止状態にあると脳波の実験でも知られている。だからテレビを見せずに育ててきた。

けれど、見れない心のストレスや大事な友達が大好きなテレビ番組を否定することへの疑問がめぐむのなかに渦巻いている。

和知さんのお話に共感を覚えながら一方で、ほんとうに見せないことが良いことなのか?せめぎ合う葛藤を覚えつつ、話は分校へと移っていった。

脳波検査でテレビを見ている時は脳波がまったく発生しないことがわかっている。さらに、テレビなどの一方的に流されてくる情報を30分以上継続してみたら、その後脳が一定時間働かなくなる。

つまり、勉強をしたとしても脳内には記憶されることがない。テレビやゲームの悪影響、恐ろしいよね。

校外活動と伊豆分校

手植え

遊では3地域での校外活動が行われている。

1.群馬県六合村での青空教室

2.東京都町田市でのお米づくり

3.静岡県伊豆分校での体験型合宿

郊外授業でお米づくりや炭焼き、塩づくり、青空や星空授業・・・。

自然体験や仕事体験から大きく学ぶ子どもたち。心で感じて体で体験して成長していく様子が眼に浮かぶよね。

五感を使って学べる環境が築かれていることが『自主学校 遊』の大きな魅力だ。

お金の壁をぶち破れ!遊の特徴的な学費システム

小学校パンフレット

ここの学校に入りたい!

と思った時、出現するのが『お金』の問題。

私立小学校や無認可小学校の授業料は高額だ!

なかには入学金だけで『30万円』なんて学校もある。とてもじゃないが一定の富裕層じゃないと学費を払い続けていくなんてそうそうできることじゃない。

ところがだ・・・。

遊の学費は自己申告制になっている。

「授業料は決まっていますが、授業料を支払うのが困難な人もいる。私(和知さん)とふたりきりで申告をしてもらい申告した学費を支払ってもらっています。誰がいくら支払っているのかは私とご本人以外は知りません。」

『自主学校 遊』は授業料が払えそうもないからと諦める必要がないんだ。

ここを望んでいる子どもたちに間口を開いてくれる遊の仕組みに胸が熱くなるのを覚えた。

こんな学校が増えると格差社会の広がりを抑えることができる気がするよね。

毎年度の授業計画の予算から学費(月額)が決まる遊。学校が決めた学費を支払う人と自己申告した学費を収める人が混在する遊が成り立つわけは貯蓄からだ。

と言っても大きな貯蓄があるわけではない。
数年は頑張れるくらいの貯蓄から補填して、学費を支払うのが困難な人たちも受け入れている遊。

学校が潰れるのが先か、遊への寄付や困難な人がいなくなるのが先かというせめぎあいの中で笑顔を絶やさず情熱的に子どもたちに接する遊の温かさに熱いものを感じた。

もしも、遊へのシンパシーを感じたならば、遊の応援団に名のりをあげるのもいいかもしれない。
遊の応援団

まとめ

和知さんの情熱はとても惹かれるものがあった説明会。親御さんも学校への思いが熱く、遊の良さを一人でも知って欲しいという熱意が伝わってきた。

残念ながら、授業風景は見ることができない遊。たまたま通りすがりに外で授業が行われていたら見れるかもしれないらしい。(5名以上揃えば体験授業を出前で行ってくれる。)

遊に通う子どもたちが活き活きとしているのを知っている。先生も素晴らしいと感じている。けれど、どこかピンとこないめぐむ。

素晴らしさを感じながらも遊を選択することができませんでした。

遊の次なる説明会は・・・。

次回は『明星学園』の説明会に参加したお話をするね。